フナビオについて

フナビオは愛知県の東海市立船島ふなじま小学校にあるビオトープの愛称です。
船島小の児童をふなっ子と呼び、船っ子ビオトープが略されてフナビオとなっています。

ビオトープとは

ビオトープとは、生き物のむところという意味です。 バッタを見たいなら草が必要ですし、セミを見たいなら木が必要です。 生き物はいろいろな環境で見られますので、そのような環境をたくさん作りだしているのが船っ子ビオトープ、フナビオです。 草刈りされていないと、見た目には格好悪く感じるかもしれませんが、これはいろいろな昆虫を観察するためにあえて行っているものです。 子どもが安全に通れるようにした道とその両側の少しの範囲以外は草があって当然なので、 生き物観察のためというご理解をいただきたいと思います。

フナビオの環境

フナビオには森林的な環境、水辺的な環境、草原的な環境の大きく3つの環境があります。

・森林的な環境

 東海市では各地で21世紀の森づくりとして、 純粋な自然であればこの地域で見られたであろう樹種を選定して植林する森づくり、 いわゆる潜在植生での森づくりをしています。 フナビオの南側にもその植林された木々の多い環境があります。

・水辺的な環境

 学校建設時に埋め立てられて消失した小川などの水辺を再生し、小川、池、湿地を造成した環境です。 当初に植林されたハンノキ、ヤナギ類以外は、工事後の裸地的な状況から自然に生えてくる植物、 自然に入ってくる動物で構成された環境です。 一部に誰かが勝手に持ち込んだと思われる外来植物が侵入しています。

・草原的な環境

 工事後の裸地的な状況から自然に生えてくる植物、自然に入ってくる動物で構成された環境です。

フナビオ設立時からの思想

船島小学校にビオトープが設置されることになった経緯には、 東海市長が子どものころに親しんだ原体験を今の子どもたちにもしてもらいたい、 自然に接してほしいというものが、背景にあったようです。

しかし、自然体験という意味ではより広い地域での環境づくりが必要であり、 狭いビオトープだけがよい環境でも、仕方ない部分があります。

また、安易に放流するなどで生き物を導入しても、つくられた環境が悪ければ 死滅するだけですし、逆に環境さえ整えてあげれば、周囲から勝手に生き物はやってくるものです。

そのため、フナビオだけでなく、周辺環境も整える必要があるということで東海市役所と周辺住民とで話し合いが持たれ、 上野新川ふるさとの水辺再生基本構想が作成されました(リンク先は東海市役所のホームページのものです)。

このあたりの地域は洪水に悩まされていたので、 洪水対策として河川工事をする必要がありました。 その洪水対策工事の際に、自然にも配慮しましょうということになりました。 (2016年4月現在 工事待ちの状況です。)

地域の自然環境全体をよくしていくという思想が背景にあることから、 フナビオでは当初行われた造成と植林以外、基本は自然に任せ、 無理して他所から生き物は導入しないというコンセプトへと続いていきました。

このフナビオ設立当初からの維持管理思想はフナビオの大きな特色となり、 「生き物を人の手でビオトープに入れるのではなく, 環境を整えることで生き物が自然に集まってくるのを待つというコンセプトのもと, 生き物調査を継続して行っていること。」、 「地域と連携して活動をすすめ,ビオトープの考え方を地域に広げていること。」という評価へとつながり、 日本生態系協会の全国学校ビオトープコンクールで2009年に国土交通大臣賞を受賞するに至った次第です。

このため、ビオトープで見たい生き物をたとえばメダカとした場合、 周囲の環境でメダカがたくさん見られるようにし、 そこからフナビオに自然に入ってくるのを待つスタイルになっています。

逆にホタルが見たいと思っても、周囲の自然環境では現在見られないので、 それは現実として受け入れて、観察は他の場所で行うことにしています。 安易にホタルを放虫しても、ホタルは子孫を残すことはできず、命を無駄にするだけで、 環境改善へとはつながらないからです。

フナビオでは地域住民が周囲の自然をよりよい環境にするためにバックアップし、 よりよくした環境の生き物が結果としてフナビオで見られるようにすることが大きな目標ということを、 まずご理解いただきたいビオトープです。

国土交通大臣賞を受賞した評価を裏切らないように、活動を継続していきたいと思います。

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