安全について フナビオおうえんずかんの掲載範囲は、 「フナビオから歩いて30分以内の地域で、できるだけ安全に、人に迷惑をかけない場所で観察できる生き物」です。 安全に配慮するとすると、まずは大きく2つの点が考えられます。 ・ 対人に対する安全(観察時のマナーについて) ・ 自然環境に対する安全 これらで下記にまとめてみます。 <対人に対する安全とは> 観察時のマナーを守るという観点で、特に田畑などの農耕地、人家など、 他人の所有地周辺での観察は、きちんとマナーを守って観察することを心がけましょう。 そうすることで地域の人たちとの無用なトラブルを避けることができます。 他人の土地に入るということは、当然、立ち入りを喜ばない人がいます。 決して、農地には立ち入らず、周囲の道から観察しましょう。 ただし、もしたまたま作業している農家の方がお見えでしたら、あいさつをして、 「植物観察したいのですがよろしいですか?」というようなお願いをしてみると、 立ち入り許可をいただくことができるかもしれません。 田畑のあぜ道を通る場合でも、どうぞと通してくださる方もいますし、 あぜ道を崩される可能性があるからダメという方もいます。 そこは地元の方の指示に従うようにしましょう。 また、すぐ近くに農家の方がいましたら、あいさつを交わしておきましょう。 これが他人の土地に入っているときの最低限のマナーです。 立ち入りのお願いをすると、もしかしたらいろいろな自然についてのアドバイスもいただけるかもしれません。 また、東海市ではさまざまな農作物が収穫され、その季節も多岐にわたっています。 収穫物がある季節であれば、その農耕地に入っていることは、泥棒をしていると思われることにつながり、 トラブルを起こしかねません。 とくに夏のブドウ、秋のカキ、冬のミカンの収穫期などでは畑に近づかないようにしましょう。 また、人家の垣根にしかない植物も、家をのぞきこまれていると勘違いされないようにしましょう。 このフナビオおうえんずかんでは、田畑に入らないでも、その周りから見られる種を紹介しています。 無理しないでも見られます。 |
<自然環境に対する安全とは> ビオトープでの生き物観察は、しばしば危ないという苦情を受けます。 たとえばスズメバチに刺されるのではないかということです。 スズメバチがいるビオトープには行かせたくないといって、観察を受け付けない方も実際にいるのです。 このような危険があり得るビオトープでのコンセプトは、 この環境を用いられるからこそ、その危険を教えられるというものです。 例で出したスズメバチは、ビオトープだけにいる昆虫ではありません。 樹液だけに来る昆虫でもありません。 じつは知らない方が非常に多いのですが、家庭菜園、人家の庭や花壇、 道路沿いに捨てられた飲みかけのジュースが入った空き缶や捨てられたお菓子など、 いろいろなものにやってきます。 スズメバチハはビオトープでも、学校でも、通学路でも、住宅街でも見られる生き物で、 普段話題に出ないから気づいてないだけなのです。 そのため、多くのビオトープの活動や自然観察会などは、 身近なところにある気づかれていない危険を学ぶことができるようにと配慮して、 活動されています。 スズメバチとはどんな色模様や大きさの生き物なのか、 刺されないようにするにはどうするのか、を教える場は、算数や英語といった教科にはありません。 将来にわたって大切なことを総合学習やフナビオでの活動で行っているのです。 これらはスズメバチだけでなく、通学路にも出てくるマムシ、 生えているかぶれの木などにもいえます。 これらの学習は、夏休みのキャンプ、ハイキング、景勝地の観光、 水遊び等で応用可能な安全面ですから、 ぜひ大人の方は子どもを守るために知っておいてほしいものです。 なお、刺される危険なことからスズメバチは害虫とされていますが、これは人への危害を強調した考え方によるものです。 スズメバチの食べ物の中には野菜を食べる害虫のイモムシがあり、非常に多くの害虫を食べています。 農業への貢献を強調した考え方にすると、益虫となります。 同様に、ミツバチは人への危害は害虫、ハチミツなどの作製では益虫となります。 つまり害虫と益虫は、人の視点の違いにより入れ替わるものです。 |
・ 服装について 雑木林や草はらなどで観察する場合、 基本の服装は長そで長ズボン、長めのクツ下、はきなれたクツもしくは長グツ、帽子がよいです。 長そで長ズボン、長めの靴下は、毛虫などに気づかないで触れてしまったときなど、 身を守ることにつながります。また、帽子と共に、紫外線などから肌を守ることにもなります。 肌の露出は少ない方がよいでしょう。 マムシがいそうな水辺や雑木林などでの湿ったところ、 地面の見えない草はらなどを通るときは、足元を守れる長靴が安心です。 最低限、はきなれたクツは必須です。 クツでとくに危ない事例は、保護者に多いサンダルとハイヒールです。 サンダルだと足や指が露出しているので、石などでケガをしたり、ムカデなどに刺されたりする恐れがあります。 ハイヒールでは石や草などに引っかかったり、凹凸でバランスを崩したりして、捻挫するなどの恐れがあります。 観察したり、遊んだりするのは子どもだからといって、 このようなアドバイスはしばしば保護者に無視されます。 では、子どもが転倒するなどのトラブルがあった場合、 私はハイヒールなので助けに行かないと言って子どもを無視するのでしょうか? サンダルとハイヒールはとても危険なのでやめましょう。 また、川遊びで水の中に入るときでも、サンダルはやめた方がよいです。 その理由の1つ目は、サンダルはぬげやすくて川に流されることが多々あり、 流されたサンダルを追いかけようとして、転倒などの事故につながることがあるためです。 もう1つの理由は、足や指が露出しているので、石などでケガをすることがあるためです。 魚などを捕る場合、隠れている草などの下流側にアミを置き、 隠れているところを足でガサガサと追い出すという、テクニックがあります。 このような方法では、足や指、ぬれ続けてやわらかくなった爪といった露出部があると、 とてもケガをしやすくなります。 肌の露出を避けるように、サンダルではなくクツの使用がよいと覚えておきましょう。 次に服装の色ですが、黒、こげ茶などの濃い色は避けた方がよいです。 濃い色はクマ、イノシシなど、哺乳類に多い色です。 このため、ハチやカは濃い色に寄りやすい習性があります。 カは血を吸うためのごちそうが来たと寄ってきます。 ハチは巣を襲って幼虫などを食べる敵が来たと、巣を守るために攻撃的になります。 したがって、濃い色は避けるようにしましょう。 |
・ 香水などのにおいについて 女性の保護者で注意が必要なものに、甘い香りのする香水などがあります。 どの種類かはわかりませんが、スズメバチなどが寄ってくることがあるのです。 香水に限らず、化粧品についてはできるだけ無香料の商品をお勧めします。 においでは、とくに子どもたちに注意がいるものにお菓子やジュースがあります。 お菓子を食べた後やジュースを飲んだ後に、口をふかないなどでにおいがあると、 これもハチが寄ってくることになりかねません。 たとえばキャンディをなめながら雑木林に入るようなことは、 スズメバチを口元に呼び込むことになりかねませんので、ご注意ください。 |
・ 毒虫や毒ヘビ、かぶれの木などについて 毒を持つので有名なのは毛虫とハチなどの刺す虫ですが、 触るとかぶれる液を出す虫もいます。虫を観察するのでなければ、不用意に触らない方がよいでしょう。 虫を観察するのであれば、代表的な危険な虫は覚えておくとよいでしょう。 このような注意が必要な生き物は、下の写真をご参照ください。 毒ヘビはニホンマムシ(マムシ)とヤマカガシがいます。 これらのヘビの基本的な色模様は、下に紹介しておきますので、覚えておくとよいでしょう。 ただし、ヘビの色模様は個体差がかなりあり、たとえば黒いヘビというだけでは、種類はわかりません。 毒がないアオダイショウなどでもかまれると、かなりの出血をするケガをすることがありますので、 ヘビにはむやみに触らない方がよいです。 もし、マムシやヤマカガシにかまれたら、すぐに病院に行きましょう。 かまれても毒が入っているとは限りませんので、冷静に、慌てずに、 それでいて迅速に動きましょう。 とくにヤマカガシの場合、血清を持つのは日本で1ヶ所のみ、 群馬県太田市にあるジャパンスネークセンター(一般財団法人 日本蛇族学術研究所)だけですので、 早く医療機関に行き、もしものときに対応してもらえるようにしましょう。 毒を吸い出すのに、ドラマや映画などで口で吸うシーンがありますが、 口で吸うのはやめましょう。 吸い出すことを前提に考えるのであれば、ポイズンリムーバーの購入をお勧めします。 ポイズンリムーバーは毒ヘビにかまれたときだけでなく、ハチや蚊に刺されたときでも有効活用できます。 ただし、かまれたり、刺されたりした直後に使用しないと効果はありませんし、 いざというときに使えるように、練習しておいた方がよいです。 また、1000円程度の安いものと数千円の高価なものでは毒の抜け方が全然違い、 高価な方がよかったとは仲間の話です。 |
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ハチの |
オオスズメバチ |
コガタスズメバチ |
キアシナガバチ |
セイヨウミツバチ |
カミキリモドキの |
アオカミキリモドキ |
モモブトカミキリモドキ |
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ドクガ |
アオイラガ |
イラガ |
かぶれの |
ハゼノキ |
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